2024年12月22日 礼拝「真にクリスマスにする」マタイ2：1～11

　今日私たちは、三人の博士として知られているクリスマスの記述を読んでいます。今日

の聖書箇所を読んで気づいたと思いますが、東の方から来た博士たちの人数は記されてい

ません。博士たちが献げた贈り物が３つであったので、三人の博士としたのだと思われま

す。実際は何人で来たのか分かりませんし、人数は重要ではありません。

　今日私たちは、クリスマスを本当の意味でクリスマスにするということを知り、私たち

自身が、本当のクリスマスにする者でありたいと願っています。クリスマスの文字通りの

意味は、キリスト礼拝です。主イエスをキリスト、救い主、神として礼拝するのです。

　今日の箇所には、東方の博士たち、ヘロデ王、エルサレムの人々、宗教指導者たちが登

場します。ここに登場する人々の中で、だれが真にクリスマスにしたのかを確認します。

東方の博士たちは何をしたのか、大王と呼ばれたヘロデは何をしたのか、祭司長、律法学

者たちは何をしたのか、エルサレムの住民は何をしたのかを確認して、私たちはヘロデの

ようではなく、住民たちや宗教指導者たちのようでもなく、東方の博士たちのように幼子

イエスを神として礼拝し、自分の救い主、自分の主とあがめる者となりたいのです。

　ユダヤ人の王の誕生の知らせに、対応の違いがあったことが分かります。東方の博士た

ちはバビロンかペルシアの人々でしょう。バビロン捕囚で連れて行かれたユダヤ人が、新

バビロニア帝国で、次のメド・ペルシア帝国で主の証人として信仰を守り通した時に、や

がてメシヤ、キリストが現われると証していたことを、一部の博士たちが研究し続けてい

たということです。その研究を受け継いだ博士たちが、特別な星の出現を見て、ついに約

束が現実した証拠だと確信して、はるばるエルサレムまで来たのです。

　メシヤ誕生は神の民イスラエルにとって希望でした。捕囚という屈辱的な状況の中で、

彼らは自分たちの不信仰と背きの罪を悔い、そして神の救いが現われるという希望を受け

継いで、それを証し続け、待ち望んでいたのです。

　この博士たちは、占星術や夢の解き明かしなど、呪術的な事柄に関係していた人々と考

えられます。ユダヤ人からは、唯一まことの神から最も遠い存在と見なされていた異教の

博士たちが、不思議な星の出現を前にして、ユダヤ人の王の誕生を確信し、この王に会う

ために、1000km以上も旅をして来たのです。この事実に驚かされます。彼らはユダヤ人

の王として生まれた方を礼拝したいという思いで来ました。私たちが博士たちから学ぶこ

との第一は求めることです。求める思いがある人は、それを見出すのです。

　この博士たちと対照的な人々が、神の救いに最も近いと自負していた神の民イスラエル

であり、政治的な指導者、宗教的な指導者たちです。実は彼らが、神の救いから最も遠く

離れた存在になっているのですから、人の常識や考え、判断はあてになりません。

　２～３節。東方の博士たちはエルサレムの王宮を訪ね、ヘロデ王に尋ねます。ユダヤ人

の王としてお生まれになった方は、どこにおられますかと。その方の星が昇るのを見たの

で、礼拝するために来ましたと言われ、ヘロデ王もエルサレムの住民も動揺したとありま

す。この場面で、約束のメシヤの誕生に対する喜びや感謝はなく、動揺したという事実に

神の民イスラエルの霊的貧困が映し出されています。少なくても、ここに登場する人たち

には、メシヤを真に待ち望む思いや、真に求める心はなくなっていました。

　ヘロデは自分の地位を守ることに神経をとがらせていました。ヘロデは大王と呼ばれる

ほどに大きな業績を残した人物です。彼はパレスチナに繁栄と平和をもたらしました。荘

厳な神殿建設を手がけてもいます。しかしヘロデは猜疑心が強く、自分の地位がねらわれ

ていないかと警戒し、妻や子さえも疑いの目で見ていたと言われています。ローマ皇帝ア

ウグストゥスは、ヘロデの子よりも豚の方が安全だと言った、と伝えられています。

　このようなヘロデですから、ユダヤ人の王が生まれたとの知らせに、その動揺は相当の

ものであったでしょう。別の王の誕生など許せないと考えました。だから博士たちには丁

重に対応しながら、その心では幼児殺害を計画したのです。８節、一見信心深いように見

せかけながらの策略は見事と言えます。

　住民の動揺は、ヘロデがどんな行動に出るか分からないという恐れでしょう。ユダヤ人

の王が生まれたと聞かされたヘロデ王なら、その子を抹殺するためには手段を選ばないと

思ったからです。住民は、待ち望んでいるメシヤ誕生の知らせに驚きはしても、ヘロデ王

による残虐な出来事を予想して、心が乱されたということです。

　４～６節。祭司長たち、律法学者たちは、ヘロデの命を受けて、救い主誕生の地名を調

べました。彼らはキリスト、メシヤがどこで誕生するかの預言を伝えたのです。しかしそ

れだけでした。東方の博士たち、神の救いから最も遠いと思われている異邦人の呪術師た

ちがはるばる来て、救い主を求めているのに、自己満足に陥っていた宗教指導者たちは、

その救い主メシヤを捜し求めようとはしなかったのです。どこに行けばいいのかを知って

いながら、そこに行こうとしない霊的鈍感さは救いようがないと言えます。

　ここに記されているような人々は、いつの時代にも存在します。今も、この日本におい

て、多くの人々はクリスマスを特別な日として過ごします。中には、イエス・キリストの

誕生、救い主の誕生を記念する日であると知っている人もいます。しかし多くの人々は、

楽しむための特別な日とはしても、自分の救い主を求めません。知ってはいても、自分の

こととして考えようとせず、ただ世の流れに流されているだけです。冷静に考えるなら本

当に大きな損失なのですが、求める人々は少ないのです。まず求めること、これが自分の

救い主を見出すための第一歩です。

　博士たちは教えられた預言のことばにしたがってベツレヘムに向かいました。エルサレ

ムからベツレヘムまでは10km程です。歩いて２～３時間ですから、さほど遠くはないは

ずです。しかしエルサレムの住民も宗教指導者たちたちも行こうとはしませんでした。博

士たちは、何か釈然としない思いを抱いただろうと想像します。しかし博士たちは千km

以上も旅をして来たということ、そしてすぐ近くまで来ているという思いに押し出されて

ベツレヘムへと向かいました。ただベツレヘムのどこに行けば良いかは分かりません。

　９節。その時、何と自分たちの出発を促したあの星が輝き出し、自分たちを先導してい

るという不思議を目の当たりにしたのです。心からの驚きと感動を覚えたことでしょう。

そして無事に救い主にまみえることができました。私たちはここで、救い主を自分の目で

見ることの大切さを知ります。人から聞くことによってではなく、自分で確認するので

す。その結果、自分の救い主として仰ぐことになります。

　11節。博士たちが見た親子は、予想していた救い主、王とは違ったはずです。そこは普

通の民家であり、その住人は一般的な親子でした。彼らの頭に後光の輪はありません。一

般的な家庭があり、家族がいたのです。しかし博士たちには、その家族が救い主、王の家

族であることを受け入れたのです。博士たちを導いた不思議な星が、その家族が救い主、

王の家族であることのしるしとなったからです。そして博士たちはまだ弱々しい、何の力

もないように見える幼子をユダヤ人の王、メシヤとして礼拝しました。ここに博士たちの

謙虚さがあります。自分たちを導いた力ある神をあがめる謙遜さが重要です。

　私たちもまた、王の王、主の主としての救い主をこの目で見たことはありません。私た

ちはイエスを見ていないのです。しかし私たちもイエスが救い主、王であることを信じま

した。博士たちにとって不思議な星の出現と導きが救い主のしるしであったと同様、私た

ちには聖書の記述がしるしとなっています。イエスの生涯を書き記した福音書を通して、

私たちはイエスというお方がどのように生まれ、どのように生き、どのように死なれたの

かを知ります。何を語り、何をなしたのか、その地上生涯はどうであったか確認します。

そして裁判の席でローマ総督は、イエスに罪を全く認めないと宣言したのに、重罪人を見

せしめに処刑する十字架刑に処したのです。あの十字架刑は、私たちの罪を赦すための身

代わりの処罰であって、神の私たちのための救いのみわざです。私たちは、イエスを罪か

ら救う救い主であると認め、私の救い主、私の神であると受け入れたのです。

　聖書は私たちに、イエスが救い主であることの証拠を示します。そしてその証拠を謙虚

に受けとめて、主イエスを自分の救い主と信じ、自分の神としてあがめ、礼拝する者は救

われます。私たちは、救い主を見るだけで終えるのではなく、自分の神としてあがめ、礼

拝することが大事です。礼拝する者が、真に救いに与かるのす。

　博士たちは、この幼子イエスを神、救い主として認め、礼拝し、黄金、乳香、没薬を献

げました。自分たちの大切な宝をささげたのです。王の王、主の主としてあがめるので、

最高の価値を認め、最高のささげ物をすることで、自分の信仰の告白としました。このお

方を真に自分の救い主、自分の主、自分の神として受け入れたことの証としたのです。

　今私たちは、クリスマスの時期を過ごしています。教会に来ない多くの人々もクリスマ

スを特別な日として過ごしています。しかしその多くの人々は、真にクリスマスにするこ

とはしません。そして私たちも気をつけていないと、クリスマスを世の人々と同じように

過ごすことになり、ただの楽しみとして終わらせることで、真にクリスマスにしないで済

ませてしまいかねません。私たちはクリスマスの意味を知っています。最も近くにいるは

ずの私たちなのに、遠い存在になりかねないのです。再度私たちは、心から自分の救い主

として、自分の主として、主イエスを必要としているのだと覚えましょう。

　私たちは、イエス・キリストを自分の救い主として受け入れ、自分の主とあがめる者と

なりました。私たちは、主イエスを自分の神として礼拝し続けましょう。このクリスマス

の時期に、感謝を新たにして、主イエスを自分の神として礼拝し直すのです。

　私たちはクリスマスを迎える度に、真にクリスマスにすることが大事です。ただ楽しむ

ためだけのクリスマスで終わらせてはなりません。自分の救い主が生まれたことを心から

喜び、自分が救われた事実を確認して、感謝を新たにするクリスマスを過ごすのです。キ

リストを自分の神として礼拝して、真にクリスマスにする私たちでありましょう。